文化庁「日本語教育の参照枠」と『私らしく暮らすための日本語ワークブック』

現在、文化庁は、日本語教育体制の包括的な整備に取り組んでいます。その一つに、「日本語教育の参照枠」作成があります。文化庁文化審議会の資料において「日本語教育の参照枠」は、次のように説明されています。

「ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)」を参考に、日本語の習得状況に応じて求められる日本語教育の内容・方法を明らかにし、外国人等が適切な評価を受けられるようにするため、「日本語教育の参照枠」を作成する

『「日本語教育の参照枠」一次報告』はじめにより,詳しくはコチラ

そして、この「日本語教育の参照枠」を支える言語教育観の中核が「日本語学習者を社会的存在として捉える」ことです。次のように説明されています。

・学習者は、単に「言語を学ぶ者」ではなく、「新たに学んだ言語を用いて社会に参加し、より良い人生を歩もうとする社会的存在」である

・(全員に同じ文法・語彙・漢字を教えるなど、学習者を異なりのない均一な存在として捉えるのではなく)学習者が置かれている様々な背景や社会的な状況に応じて、生活の中で必要な表現や話し方、漢字・語彙を学ぶ、仕事で求められる技能を優先的に伸ばすといったことが大切です

同上,p3-4

学習者全員に同じ文法・語彙を教えるのではなく、一人ひとりの実現したいことに向けて学びをオーダーメイドすることが必要、と言い換えることができます。では、この学びのオーダーメイドは、教材においてどのように実現されるのでしょうか。実は、私たちの実践を基に生まれた『生活者としての外国人向け 私らしく暮らすための日本語ワークブック』(アルク)は、学習者一人ひとりが日常生活の中の実現したいことを大切にしながら、その学びをオーダーメイドできる教材です。詳しくは次から、本書の紹介記事をご覧いただけます。