『私らしく暮らすための日本語ワークブック』第9課

『私らしく暮らすための日本語ワークブック』を使用している福岡県直方市の教室から届いた実践事例を定期的にお伝えします。今回は、第9課「日常について伝える」です。

「あなたのこと1」

その課の身近な話題から学習者は自分のことを表現します。学習者が自分のことを表現できる問いかけで構成されています。

□実際のやりとり例①
■パートナー:朝早く起きますか。
■学習者  :はい。
■パートナー:何をしますか。
■学習者  :歯をみがきます。顔を洗います。

他には、「朝ごはんをつくります」「朝ごはんを食べます」「パンをやきます」などが出ました。学習者が十分に言えないときは、パートナーが学習者の言いたいことを理解しながら表現を提示します。

□実際のやりとり例②
■パートナー:自分で料理を作りますか。
■学習者  :はい。
■パートナー:得意な料理は?
■学習者  :鶏肉と卵、(調べながら)いためます。

□実際のやりとり例③
■パートナー:自分で料理を作りますか。
■学習者  :いいえ。
■パートナー:だれがつくりますか。
■学習者  :せんぱいがつくります。

このようなやりとりを通し、パートナーは少しずつ学習者のことが理解できます。

知っていることば・知りたいことば

その課の話題を基に、学習者は自分の知っていることばを表現します。
その上で、自分に必要なことばを学びます。

□実際活動で出たことば
■生活の中の動作を表すことば
たべる、ねる、ビールをのむ、ともだちにあう、シャワーする(←あびる)、しごとする、うんどうする、いちごをちぎる(いちご農家で働いている人)、ざんぎょうする
■自分の気持ちを表すことば
うれしい、かなしい、さびしい、たいくつ、くにへかえりたい、父と母にあいたい

活動の中では、「言いたいけれど表現できないことば」が多くあります。例えば上の例では、「父、母」までは学習者が表現できましたが、「あいたい」までは表現できませんした。したがって、パートナーは学習者が伝えようとすることを理解した上で、「あいたい」を提示しました。

あなたのこと2

その課の話題を基に、学習者は自分の経験や習慣、思いなどより詳しく伝えます。第9課は、「休みの日」と「休みじゃない日」の過ごし方です。活動を終えたパートナーから、こんなコメントが届きました。

興味深かったものは、ミャンマーの学習者さんが一日に2回シャワーを浴びる人が4人中3人 でした。ずっと家にいる日も2回浴びるとのことだったので、理由を聞くと、ミャンマーはとても暑くてかなり汗をかくので一日に最低2回はシャワーを浴びるとのこと。ずっと習慣として続けているので日本へ来てからもそうしているそうです。

あなたのフレーズ

学習者にとって必要なフレーズを学びます。「よく使うフレーズ」と「もっと言いたいフレーズ」で構成されています。

□「よく使うフレーズ」の例①
■パートナー:日本に来て毎日していることがありますか。
■学習者  :日本語を勉強しています。

ここでは、継続、習慣の「ています」にフォーカスします。「ています」の文法説明は、巻末に翻訳付きで掲載されています。実際の活動では、「料理を作っています」なども出ました。この「よく使うフレーズ」を基に表現した後、さらに自分のことを伝えられるフレーズを学びます。それが「もっと言いたいフレーズ」です。

□「もっと言いたいフレーズ」の例②
「国では両親と一緒に買い物に行っていましたが、一人でスーパーへ行くようになりました」「仕事が終わってビールを飲むようになりました」「日本へ来てからサッカーをしなくなりました」「旅行に行かなくなりました」

このように学習者は自分のことをより詳しく伝えるために、必要な文法を学びます。「ようになりました」の文法説明は、巻末に翻訳付きで掲載されています。

紹介してみよう

最後に、グループやペアで自分の日常について伝え合います。次の4つの問いかけが掲載されています。「毎日、続けていることはありますか」「何をしている時間が好きですか」「大切にしているのはどんな時間ですか」「毎日、どんなことで忙しいですか」。

□「何をしている時間が好きですか?」の例
 休みの日や寝る時間、ゲームをしている時間、家族と電話する時間
□「毎日、どんなことで忙しいですか?」の例
 仕事でコンクリートがかたくて重いので運ぶのが大変、同居人全員分のご飯を作るので家にいるときはいつも料理している

活動の中では、「これから新しく始めたいこと、やってみたいことは?」という話題もありました。「車の免許をとりたい」「日本人の恋人がほしい」「大金を稼ぎたい」などの答えがありました。学習者は自分の言いたいことを翻訳アプリなどを活用しながら表現しました。