学習者の不十分な日本語をどう聞くかを考えるシリーズの第4回。今回は、聞き手が判断を留保する中で相手のことばを繰り返すことについて考えます。アルクの『日本語ジャーナル』では、次に掲載されています。

「外国人のことばを「繰り返す」ことで生まれるコミュニケーション」
(アルク『日本語ジャーナル』)

第二言語習得研究では、相手のことばを繰り返すことは、これまで誤用訂正の一部と考えられてきました。たとえば、次です。

学習者:昨日、スーパーにいきた。
 教師:いきた。
学習者:いった。

ここで、教師は学習者の「いきた」を繰り返し、学習者が「いった」と言い換えることを促しています。このような繰り返しをプロンプト(prompt)と言います。ただ、教師がこのプロンプトを行えるのは、学習者の言いたいことがはっきりとしていて、言語規則からずれていることが明確な場合です。では、前回取り上げた学習者の言いたいこととその表現がずれている場合は、どうでしょうか。それは「おにいさんのネパールの料理をつくりました」という文でした。この文を教師が繰り返すとしたら、どんなときでしょうか。そして、繰り返すのは、どんな効果があるのでしょうか。ぜひ、アルクの『日本語ジャーナル』をお読みください。