前回は、「生活支援としての日本語学習の支援」の目標を考えました。それは、次でした。

◆外国籍住民が日常生活で自分に適したものが選べ、自分らしく生活できるように支援すること

今回は、この目標を達成するために、どのような教室活動を行ったらよいかを考えます。つまり、教室活動の内容です。その際、次について考えてみましょう。

◆外国籍住民Aさんは、髪を切るために美容室を探しているが、どこに行ったらいいかが分からない

さて、Aさんが美容室を探し、希望の髪型にするまでに、どのような手順が必要でしょうか。それは、だいたい次となります。

1 知り合いにおすすめの美容室を尋ねる
2 美容室に電話して予約する
3 美容室で、自分の希望の髪型を伝える

この1~3を生活上の行為と呼びます。文化庁が作成した『「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について』(2010年)には、総数で1502、基本的なもので121の生活上の行為が記載されています。では、上の1~3の生活上の行為を行うときに、何と言いますか。それは、だいたい次となります。

1’ おすすめの美容室を教えてください
2’ もしもしすみません。〇日は空いていますか
3’ カットをお願いします。(写真を見せて)こんなふうにしてください

つまり、生活上の行為は、ことばの活動において実現します。そして、Aさんにとって、この1’~3’が学ぶべき内容となります。この目標と内容にそくし、だれもが使いやすい形にデザインされた教材が次です。

『生活者としての外国人向け 私らしく暮らすための日本語ワークブック』 詳しくはコチラから