地域の日本語教室を立ち上げ、運営するときにまず大切なことは、どんな教室をつくるのかについて、メンバーが話し合い決定することです。これを教室のコンセプトづくりと言います。コンセプトをつくる意義は、メンバーで協力して教室運営を行えること、他機関との連携が図りやすくなること、特定のメンバーによる教室の私物化を防ぐこと、などです。ここで他機関との連携が図りやすくなるのは、例えば教室運営に対し企業からの資金提供を実現したいと考えた時、その企業に対し「このような教室をつくるので資金提供してほしい」と伝えられるからです。また、特定のメンバーによる教室の私物化とは、どのような教室かについてメンバーの合意が形成されなければ、「オレはこういうことをしたいからこれでいいだろう」という事態が起きることです。なので、どのような教室をつくるのかについて、まずその骨格をメンバーでつくる必要があります。

では、教室のコンセプトとは、どのようなものでしょうか。私たちは、主に地方自治体が地域の教室を立ち上げようとした時、教室のコンセプトをつくるワークを行っています。ワークの結果として完成したコンセプトの一例を提示します。

A市の教室のコンセプト

教室の名前:つながる!みんなで楽しい日本語

教室の役割:①仲間と一緒に自分らしく暮らせる場所
      ②地域に密着し文化に触れ、情報を得て生活を豊かにできる場所
      ③自分の思いを日本語で表現できるよう、楽しく学ぶ場所

このようにコンセプトをつくることで、自分たちの教室がどのような目的を持っているかが明確になります。すると、この目的に沿ってどのような活動を行ったらいいかが考えやすくなります。次回からは、どうやってコンセプトをつくるのかについて、考えていきます。