前回は、「生活者としての外国人」のための教室は、①生活支援、②生活支援としての日本語学習支援、という2つの視点から考える必要があることを提案しました。今回は、①生活支援について、具体的に考える手順をご紹介します。外国籍住民が、日常生活でどんなことに困っているのかを考えるとき、まず日本人住民が日常生活でどんなことに困っているのか考えることから始めるのが有効です。なぜなら、日本人住民の方が身近な存在だからです。なので、①日本人住民が日常生活で困っていること、②外国籍住民が日常生活で困っていること、の順で考えます。そして、その困っていることを言語化する際、有効なツールが次です。
◆日本人住民・外国籍住民が困っていることを言語化するツール
・○○な人が (その人の特徴)
・△△な場面で (具体的な場面)
・□□ができず (その人ができないこと)
・◇◇になっている(その人が置かれた状況)
このツールを使って表現された例が次です。
◇日本人住民が日常生活で困っていることの例
・高齢の女性が
・スーパーで買い物しているとき
・字が小さくて書いていることが読めず
・買いたいものが買えていなかった
さて、このような方には、どのような支援が必要でしょうか。どのような支援が必要かを考えるためには、どのようなことに困っているのかが言語化されている必要があります。その言語化が具体的で明確であるほど、支援のアイディアが出やすくなります。先を急ぎたい衝動に駆られますが、今回はここまでとします。次回は、困っていることを言語化した後、どのような支援が行えるのかについて考えます。また、ご参考までに今回と関連する内容が、アルク『日本語ジャーナル』で、「『日本語』教師としてだけでなく、在住外国人の支援を考える」として掲載されています。