では、教室のコンセプトを具体的に考えていきましょう。教室のコンセプトを考える始点は、次です。
◆外国籍住民は、日本人住民と同じように地域社会で生活を営む者である
この考え方が「生活者としての外国人」です。ここから地域の日本語教室の役割を考えると、図1のように整理できます。
図1 「生活者としての外国人」を対象にした日本語教室の役割
「生活者としての外国人」を対象にした日本語教室の役割は、広く生活支援です。日本語学習の支援も行われますが、それは生活支援の一部であり、内容も生活支援としての日本語学習の支援です。
したがって日本語教室の内容は、①生活支援、②生活支援としての日本語学習の支援、という2つの視点から考える必要があります。すると、果たして「日本語教室」で良いのか、という問いかけが起きてきます。そろばん教室はそろばんを教える場所、ピアノ教室はピアノを教える場所、と同列で日本語教室を考えた場合、日本語教室は日本語を教える場所となります。しかし「生活者としての外国人」を対象にした教室は、生活支援を行う場所で、日本語学習の支援以外の生活支援も行われます。ここには、日本語教育が語学の教育なのか、それとも社会福祉の取り組みなのか、という分岐点もありそうです。先を急ぎたいところですが、今回は、ここまでにします。次回は、外国籍住民に対する生活支援を具体的に考える方法をご紹介します。